推しにリアル育成ゲームされてる話

暴走冷蔵庫アドベントカレンダー( 暴走冷蔵庫 Advent Calendar 2020 - Adventar )23日目です。

 

 テーマなんでもアリの当カレンダーに則りいろいろな内容の記事を書くつもりが、結局また推し絡みの記事を書こうとしている不思議。推しは人生を豊かにするから仕方ないネ。語っても語っても尚尽きぬ。

 推し、と一口に言えどもそれはたくさん存在する。今回お話しする推しは三次元の人間である。生きている推しだ。前回の記事で触れた推しはプロの方でらっしゃったが、この推しは一般人である。一般人ですら推したり得るのだから、この世界は素晴らしいものである。

 

⚠注意⚠

 ここから先はそういう世界のお話をするので、薄いブック的なものに耐性・免疫などを持たない方はブラウザバックをオススメします。具合が悪くなっても責任取りません。せっかくリンクとんで読みに来てくれたのにね。お詫びになんの関係もないエビの写真でも見ていっておくれよ。

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 エビ、エビ、エビ、そしてエビである。

 

 

 

 

 

 

 さて、前振りは済んだ。なので本題に入る。さあ残留してくれたみなさんにお話しさせていただきます。

 

 ツイッターで大々的に騒ぎ立てましたが、9月末くらいにイラストを投稿することにより絵師はっくべとしてピクシブデビューしました。10月には公式様の企画に乗っかって毎日イラストを投稿するチャレンジもいたしましたので、フォロワーの方々であればきっと知るところであると思います。

 が、実を申しますとそれに先駆けること数ヶ月前に小説ジャンルにてすでにデビューを果たしておりました。

 じゃあ本当のデビューは9月末じゃなかったのか?はい、その通りです。しかし嘘はついていません。なぜなら絵師としてじゃないので。ユーザー名もはっくべにしなかったので。イラストを投稿して「ピクシブデビューしたよ」宣言は今後うっかり誤爆した時にごまかしが効くよう仕込んだものだったのです。白々しくも含みを持たせた当時のツイートに誰からもツッコまれはしませんでした。

 

 絵の方はいくらでも見せられても文章の方を見られるのは恥ずかしい。今日に至るまで絶対にアカウントを特定されないよう、その他もろもろの仕込みやアリバイ工作をしてきました。

 例えばこの記事を含んだ今までのブログ記事たち、みな少し文章の書き方のルールを外しています。常体敬体が混ざったものを書くなんて、ナンセンスですよね。小学校中学校でどちらかに統一するよう教わったはずです。よもや小説ジャンルで活動する人間がそんな初歩的なことも知らぬわけがないだろう。そこを狙いました。まあ誰も気づいていないでしょう。こういう回りくどい仕込みをしては満足してきたわけです。

 何人かには活動していることを話したことはありますが、ジャンルやアカウントまで知っているのはたった1人です。そのたった1人もみなさんに特定されることはないだろうという信頼と自信があります。

 

 ではなぜそこまで厳重に隠してきたことを語ろうとするのか。どうしてだと思いますか?それはね、

 

今むっっっちゃくちゃおもしろい状況になってんの!!!!

 

 私はね、おもしろいことが好きです。おもしろいことがあったら共有したいです。そのためには多少自分がやけどを負うくらい大したことじゃありません。そういう生き物なのです。

 

 記事をお読みのみなさんの中にマシュマロという名のファンレターを送った方はどれだけいらっしゃるでしょうか?素晴らしい文化です。推しに気軽に感想や熱いメッセージを伝えることができます。それだけでもすごいことなのに、場合によってはお返事までいただけてしまうのです。マジヤバです。

 

 私はある推しの書き手さんがいました。プロじゃない人間が書く作品なんてジャンクフードみたいなものだ。白状するとそれまでそう斜に構えていました。そんなナメた態度な私の後頭部を鈍器で殴りつけたのがこの方でした。まるで文章そのものが生きているかのような錯覚を受け、感動し、その世界(言ってしまえば二次創作小説ジャンル)に足を踏み入れました。

 感謝の気持ちをどうしても伝えたくて思い切ってマシュマロを送りました。その方はいわゆる大手。きっとマシュマロだけでなく様々な場面でたくさんのメッセージを受け取ったことでしょう。

 ただその書き手さんはもう書くのを止めてしまいました。たった1人の心無い言葉に酷く傷つけられ消えてしまいました。憤りを覚えましたが、振り上げたこの拳を下ろす先がありません。

 代わりに私はマシュマロを量産することにしました。おかげさまでその頃にはその方の他にも幾人かの推しの書き手さんができていました。そんな推しの書き手さんたちを心無い言葉なんて気にならないくらいのマシュマロの海に沈めてやろう、それが私の復讐です。

 そんな私に転機が訪れました。あろうことかマシュマロを送り込んでいたとある推しの書き手さんにアカウントがバレてしまったのです。この推しもまた大手と呼ばれる存在です。私は推しを応援する有象無象として生きていたかった。そのためにははっくべであることはアクが強すぎる。だからありふれた名前として密かに生を受けていました。そんな私が拾い上げられてしまった。そして推しは私にこう言いました。

 

「ぜひ物語を書いてください」

 

 推しに言われたのなら頷く以外の選択肢など存在しません。気づけば「やってみます」と答えていました。

 まあ言うてド素人ですし?今まで書いたことなどありませんし?ひとつのお話を完結させるなんて才能がないとできませんし?

 私が書けなかったとしても仕方ないと思います。この頃の私は「頑張ったけどできませんでした」とバックレるつもり満々でした。ただやるだけはやってみましょう、と頑張ってるアピールはたまにしました。

 その頑張りアピールにつくイイネの通知。それは推しによるものでした。私は単純なのでそれだけで活力がみなぎりました。気づけばひとつの作品が仕上がってしまいました。

 どこからどう見ても素人のそれはもうとても拙い作品。それでも私の精一杯を込めました。誰も読まなくてもいい。これは私が私のために書いたものなのだから。そう思ってピクシブアカウントを開設し、作品投稿のボタンを押しました。そして布団をかぶって寝ました。

 

 翌朝タブレットを見れば見慣れぬ数の通知が届いていました。ツイッターをたどると推しがRTで私の作品を紹介してくれていました。驚いてピクシブを見に行けば少ないながらもブクマがされていました。小説ジャンルはイラストやマンガよりも人口が少ないです。ニッチな方向にいけばなおさらその数は減っていきます。私の投稿したジャンルはブクマ数ゼロなど珍しくもありません。せめて推しくらいはブクマしてくれるだろうという打算はありましたが、そこにあった1よりも大きい数字に驚愕です。推しの後押しがあったとは言え非常に嬉しく、読んでくれたひとりひとりにお礼を言って回りたい気持ちにさせられました。私は読んでくれたあなたのためにこれを書きました!!私の手のひらは高速回転します。

 

 さらに嬉しい出来事は重なります。新着順にしたときに私と推しの作品が前後で並んでいました。推しと並んでる、視覚的にめっちゃヤバいです。思わずスクショしました。推しにお礼と共に作品が並んでいることが嬉しくてスクショしたことを打ち明けると、実は私もですとスクショを見せてくれました。そのスクショは私よりも先に撮られたものでした。推し、マジで推し。

 

 そしてアカウント開設時にマシュマロも設置しておりました。他の作品を見習って様式を真似しましたが、気づかぬところで不手際があってはいけない。何かありましたらご連絡くださいと書いておきました。

 投稿して数日後、そういえばマシュマロ設置していたなと思い出し様子を見に行きました。そこにはひとつのメッセージが届いていました。おそるおそる読んでみれば、私が投稿したあの作品への感想が書かれていました。それはもうもったいないくらいのお言葉が。マシュマロを送るには作品から投稿者のページに行き、そこからツイッターへ移動、そしてプロフのリンクからマシュマロページに行く、というステップを踏まねばなりません。ただ読んでくれただけでなく、その上でそんな道のりを経て送ってくださったどこかの誰かがいらっしゃった。その事実に感激しました。マシュマロによる感想なんてよほどの書き手さんでないともらえないだろうと思っていたからです。素通りされるレベルではダメだ、もっとつよくなければと。それがまさかこんなにも早くかなうとは。

 簡単に乗せられる私はもう次は何を書こうか考えていました。

 

 そんなこんなで密かに活動を始めた私。推しは私を育てるのがお上手で何でもかんでも反応をしてくれるわけではありません。良いと思ったものにイイネやリプをくれます。そういうところも好きです。

 

 ここまでが確か半年くらい前の話です。それからはゆるゆると作品投稿したりしなかったりしていました。作品を投稿する時はその前の作品を超える出来にするのを目標にしました。良ければ評価され、イマイチであれば大して評価されない。頑張ったら頑張った分だけ反映されるのがとてもおもしろい世界だなと思いました。ありがたいことに感想もいただけて、たまに自分でも意識していなかったことまで見抜かれて。初心者のわりに恵まれた環境であると思っています。ええ、既に十分だと思っていましたとも。まさかこれ以上は無いだろうと思っていました。

 

 あるんですよね、これが。どうしてそうなったのかとても不思議なのですが、今、推しの指導を受けています。ナウです、ナウ。

 件の推しが参考になればと、新作のプロットを私に見せながらストーリーの組み立て方を教えてくれているのです。次のイベントに出す新刊ですよ?なんということだ。

 そもそものそも、基本的に皆手探りで身につけたノウハウでしょう。それを伝授しようなんて。まして現在絶賛活動中の大手さんだ。自分の原稿で忙しいに決まっている。余裕などあるはずがない。そんなつよい人に教えてもらうことができるなんてとてもレアケースだと思います。もともとの知り合いだとか身近な人間じゃないならなおさらのこと。

 そんな好機が降ってくるなど思いもよりませんでした。しかもそれが己の推しですよ?こちらから頼んだわけじゃなくて、向こうから持ちかけてくれたのです。

 そんな極上の餌をぶら下げられてしまえば食いつかぬわけが無い。

 けれど私の中には葛藤がありました。私はただ推しを応援する有象無象でありたかった。それが何だ?推しに認識された上で特別扱いを受けようとしている。乙女ゲームのヒロインか?抜け駆けを許さぬ有象無象代表の私とヒロイン代表の私の殴り合いです。結局有象無象に勝ち目はありませんでした。

 

 この間は表紙作りを見せてくれました。スカイプで。通話して。画面共有をしながら。推しと会話するってだけでもレベルが高いです。は?放課後デートかよ。

 放心しそうになりながらも意識をどうにか繋ぎ止めてノウハウをしっかり吸収させていただきましたし、気になることにもたくさん答えていただきました。「お返事はいつでも構いません、余裕がある時で結構です」と伝えても即座に返してくれるバイタリティとその内容のストイックさに改めてすごい人に教えてもらっているんだなあと思わされました。

 ところでお気づきでしょうか。先程表紙作りを見せてもらったと書きましたよね。推しは私に表紙作りのノウハウを仕込んでいきました。これが意味するところがわかりますかね?

 気づかぬうちに私は薄いブックをつくることから逃げられなくなっています。

 どうしてこうなった?いやまじで。は?買うのすらハードルの高いアレを?つくれと?

 人生なにが起こるかわかりませんな、全く。ハッハッハ。

 

 もしこの記事をお読みの方の中に薄いブック制作経験者の方がいらっしゃったら今すぐ私を助けろください。

 あと仮にその手のイベントで私に似た人間が席についてブックを積み上げているのを見かけたら、それはきっと私にとても良く似ただけの人間なので気にしないでください。